タイム誌の〈世界で最も影響力のある100人〉に、村上春樹さんと共に日本から2名だけ選ばれた、近藤麻理恵さんという方の存在を知り、そのご著書を拝読したところ、今後の人生の指針となる貴重なお言葉を頂戴しましたので、ご紹介させていただきます。

そのご著書とは、『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)というベストセラーで、2011年初版の本ですから、多くの皆さんより、(何を今さら…)というお叱りを頂戴するかもしれません。

恥ずかしながら、実はつい最近まで、近藤麻理恵さんというお方を、存じ上げずに過ごしてきて、今回そのご著書を入手したのも、
(ゴチャゴチャしている生活環境を何とかしたい…)
という思いのもと、「片づけノウハウ」の何かしらの参考に、軽く流し読みでもしてみるか…と考えてのことでした。
甚だ不遜にして無礼な所業、近藤さま、誠に申し訳ありませんでした。

しかし一読すると、それは単なる「片づけノウハウ本」ではなかったのです。
そこに記されていたのは、近藤さんご自身が、〈片づけ〉の実践・工夫を重ねる中で会得された、「人生をより幸せに生きるため」の、珠玉のお智慧。
そしてご自身が「そうなることができた」のと同じように、他の多くの人にも、(片づけを通じて幸せになってもらいたい!)という、熱き願い。
それらは、宗教的な修行を経て獲得できる境地と、どこか相通ずるものがあり、そうした精神状態に、日常生活を通して到達できる所が、近藤さんの啓蒙活動の稀有な点だと思います。
(もちろん同書には、片づけに関する“ウロコ眼”の具体的ノウハウも、余すところなく記されておりますので、未読の方は是非手に取られることをお勧めいたします)。

以下、少し長い引用となりますが、自身銘肝の意味も含め、近藤麻理恵さんご著書より、心打たれたお言葉の断片をご紹介させていただきます(引用はすべて『人生がときめく片づけの魔法』からです)。

~《私自身が片づけについて真剣に向き合ってきた経験と、たくさんの「片づけられなかった人」たちを「片づけられる人」に導いてきた経験から、自信を持って言えることが一つあります。それは、家の中を劇的に片づけると、その人の考え方や生き方、そして人生までが劇的に変わってしまうということです》

《では、なぜ家の中を片づけると、考え方や生き方が、つまりはその先の人生までもが変わってしまうと思いますか。
ひと言でいうと、片づけをしたことで「過去に片をつけた」から。その結果、人生で何が必要で何がいらないか、何をやるべきで何をやめるべきかが、はっきりとわかるようになるのです》

《「部屋の乱れは心の乱れ」という言葉がありますが、散らかっている状態というのは、物理的なこと以外に本当は問題があるのだけれど、目の前のごちゃごちゃ感でごまかされてしまっている状態だと考えられます。
散らかすという行為は、問題の本質から目をそらすための人間の防衛本能です。-中略-
片づけをして部屋がさっぱりきれいになると、自然と自分の気持ちや内面に向き合わざるをえなくなります。目をそらしていた問題に気づかされ、いやがおうでも解決せざるをえなくなる。片づけはじめたそのときから、人生のリセットを迫られるのです。
そしてその結果、人生が大きく動きはじめていきます。-中略-
片づけはたんなる手法であって、それ自体が目的ではありません。本来の目的は、片づけたあと、どう生きるかにあるはずだと思いませんか》~

いかがでしょう?
私と同様に、
「今の自分を変え、人生を好転させたい!」
と切望し、その手立てを模索されている方ならば、琴線にビンビンと響く言葉の群れではないでしょうか。

最後に、同書の中、私が、釈尊や祖師方が示された警句・明言に匹敵するような価値を覚えた、近藤さんのお言葉を掲げます。

《結局、捨てられない原因を突き詰めていくと、じつは二つしかありません。
それは「過去に対する執着」と「未来に対する不安」。この二つだけです》

シンプルなお言葉ですが、私はこの言葉に触れて、自らが常に抱いている、人生に対する「漠然とした怖れ」の正体が、分かった気がいたしました。
以来、生活上の様々な場面で、前進することを躊躇し、その場で足踏みしている自分に気づく度に、
(これは「過去に対する執着」から来ているのだろうか?
それとも「未来に対する不安」から来ているのだろうか…?)
と、自問する習慣を持つようになりました。

結果、その答えが、「過去執着」、「未来不安」のどちらであっても、
「手放しても平気。しがみつかなくても大丈夫」
と思えるようになって、少しずつですが、以前よりも楽天的な人間へと、変りつつあるのを感じております。
誠にありがたいことです。

今、我が家からは、日を追うごとに、モノが減り続けています。
そして、減ったモノの分量に比例して、心が軽やかになり、出来た空間の広さに比例して、心に爽やかな風が吹き抜けてゆきます。
(これから人生が益々良くなる。ドンドン開けてくる…)
何の根拠もないのに、そんな確信に似た気持ちが、不思議と湧いてきて、それはまさに、近藤さんのご著書タイトルの通り、「人生がときめく片づけの魔法」であります。
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